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2011.12.10

[Dragon Age 2]ゲイダーさんの新しい小説:Asunder

今回はオーレイが舞台だそうな。12月20日発売と決まったようです。

Dragon Age: Asunder

「 謎の殺人者が"The White Spire"、強大なオーレイ帝国におけるテンプラーの権力の中枢を闊歩している。自らの無実を晴らすため、メイジ"Rhys"は渋々西の荒野を目指す旅に出る。そしてそれは、彼の予測した物より遙かに多くの事柄を明らかにするのみならず、仲間のメイジ達の運命を永遠に変える事となる。」

 表紙が怖い。Rhysが誰かって?知らんがな(笑)。噂では色々とあるようですが。
 Amazonに抄録(?ティーザーじゃないの?)が載っていたのでついでに翻訳っと。

僕は尖塔の幽霊だ。

 どうもこの考えは気に入らない、コールは何度もそう心の中で繰り返した。連中は幽霊など存在しない、死者が生者の間を歩き回ったりしないと言うが、それでも幽霊の存在を信ずる者は、メイカーの御許に行くべき死者が道を見失い、陰の国を永遠に彷徨うことがあり得ると信じていた。
 コールは死んでは居なかった。しかし同時に、生きてもおらず、ただ生者の間を歩き回っていた。

 この大きな塔の片隅に隠れ、彼のことを語り合うメイジ達の会話を彼は耳にした事があった。メイジ達には彼がそんな事をしているとは見当も付かなかっただろうが。彼らはその夜の遅くに、「白い塔」の暗い隅に身を寄せ合っていた。大きな塔のあちこちにはそういった隠れ家、彼らを疑わしい目つきで見張るテンプラーからメイジ達が逃れる場所があって、コールはその全部の場所を知っていた。

 コールはここのメイジ達についてほとんど知らなかった。しかし、彼らが自分たちに割り当てられた部屋から忍び出る事には、大きなリスクが伴うという事は知っていた。この塔でメイジに親切なテンプラーなどごく僅かで、メイジ達が口にするのもおぞましい恐ろしい事を始終企ててているに違いないと、ほとんどの者がそう信じていた……だが実際には、大抵のところはもっとずっとありふれた話に過ぎなかった。

 彼らの会話は大抵は噂話だった。メイジ達はお互いに秘密を語り合っていて、時には恋人同士の揉め事についての根も葉もない推測だったり、有る時はもっと遙かに深刻な事柄に関する、公の場では話せない真実だったりした。一方で、時にはメイジの恋人達の密会に出くわすこともあった。許されたごく僅かな一時に狂おしいまでの愛情を確かめ合うため、彼らは密やかにお互いの身体を重ね合っていた。

 そのカップルが、彼のことを語り合っているのを見つけたのはほんの偶然だった。彼が陰の中を過ぎ去ろうとした時、彼らの抑えた囁声を耳にしたのだった。麦わら色の長い髪をした地味な女と、ひょろっとしたエルフの少年。二人とも顔は判ったが、以前に見かけた事があっただけだった。

 彼らは魔法の才能のほとんど無い、年を食ったアプレンティスたちで、彼らを待ち受ける逃れようのない試練に対し、既に長すぎる時を費やしていた。遅かれ速かれ、彼らは最後の試練のためにテンプラーに連れ去られ、その姿をコールが見る事は二度と無いだろう……あるいは魔法の能力をはぎ取られ、一生をテンプラーへの従順な奉仕に費やすよう運命づけられた、感情のないトランクィルとして広間を彷徨く姿を見るのだろうか。

 コールは彼らの目に浮かぶ恐怖を思い出した。その地味な女性の頬には殴られた跡が目立っていたが、そのまだらの紫色は既に薄れかけていた。その隠れ場所から彼らはこっそりと巡回するガードの姿が無いか伺い、僅かな物音にもびくびくしていた。側を走り去るネズミにさえ彼らは飛び上がっていたが、しかしその隠れ場所から動こうとはしなかった。
 彼らの油断の無さにも関わらず、コールが近付いている事には全く気づく様子はなかった。もっとも、彼はそんな事は期待していなかったが。彼は二人のすぐ側に立ち、会話を聞こうと身を傾けた。

「あれを見たって言ったでしょ。」

女が恐れの色のにじんだ声で断言した。

「エンチャンター・ガーレンの本を探して下の回廊を歩いていた時、それが居たの。」

「幽霊ねえ。」

エルフの少年は信じがたい様子で言った。

「そう、ドラゴンは居ても幽霊は居ないって言うわけ?」

女は腹を立てた様子だった。

「チャントリーは何でも知ってるわけじゃないわ!フェイドには居るのよ、あの人達がどうやったって説明…」

「ディーモンかも知れないぜ。」

彼女はためらい、突然襲った恐怖に青ざめた。

「だけど……私に話しかけようとはしなかったわ。私の事を見たとも思えない。多分単なる訪問者で、帰り道を見失ってしまったのかも。だけど私がその後を追って角を曲がったら、もう居なかったの。」

エルフの少年は眉をひそめた。彼の声は囁くほどに低く、コールにとってさえ聞き取るのも難しかった。

「あの人達が僕らに何て言って教えているか知ってるだろう。ディーモンが訪れた時、最初から害があるようには見えないって。君の興味を引くような何かの姿をしているんだ、君のことを誘惑し始めるまでは……」

彼女はあらぬ方角を見つめ、心配そうに唇をかみしめた。彼女はコールの方を見つめていて、彼の心にちらっと考えがよぎった。彼女は本当に僕を見たのだろうか?

エルフの少年は溜め息を付き、彼女を抱き寄せて、脅かすつもりはなかったんだと慰めるように呟いた。女はぼんやりと頷き、あふれ出る涙を抑えようとした。

「それはどんな風な姿だった?」

やがて彼はそう尋ねた。

「ご機嫌取りのつもり?」

「違うさ、教えてくれよ。ひょっとするとテンプラーなんじゃ?」

「この塔の中にいるテンプラー全員の顔を、私が知らないとでも思うの?何人かは否が応でも覚えてるわよ。」

彼女は頬のアザをそっと触った。エルフの少年は顔をしかめたが何も言わなかった。

「彼は鎧もローブも着てなかった。普通の男の人で、あなたよりちょっと年が行ったくらいだったわ。もしゃもしゃの髪で、多分ブロンドね?絶対洗濯しなくちゃ着られないような、革の服を着ていた。私以外にも彼を見た人が居て、私が見たのとその人達の話している姿が合ってるのよ。」

「ひょっとすると、洞窟の中で働いて居る雇い人かも。」

「ここの地下で誰かが働いていたのって一体いつの話?」

少年は言葉を失い、肩をすくめた。

「判ってるよ、ただ僕は…」

「彼の目が見えるくらい近くまで寄ったの。」

女は眉を寄せて思い出していた。

「彼は悲しそうに見えたわ、まるでここの地下で迷子になったみたいに。そんなの想像出来る?」

彼女は身を震わせた。少年は彼女を安心させる様にニヤッと笑った。

「そうすると、そいつは悪名高き尖塔の幽霊だな。他の連中が聞いたら羨ましがるぜ。」

彼女は微かに微笑んだ。

「多分誰にも何も言わない方が良いわ。」

「そうかもな。」

 彼らはしばらくそこに止まり、コールも居続けた。女が見たことについて彼らがもっと話してくれないかと期待したが、それ以上彼らは話そうとはしなかった。ただお互いの手を暗がりで握りしめ、塔の礼拝所から聞こえる聖歌の詠唱の密やかな響きに耳を傾けていた。真夜中の祈祷が終わり、ただ沈黙だけがその場を満たした。そして二人は気の進まぬ様子で自分たちの部屋へと戻っていった。

 コールは彼らの後を追おうとはしなかった。そのかわりに彼らが座っていた場所に座って、辺りの静寂に身を任せた。彼がディーモンで無い事は判っていた。見たことも話したことも無かったが、どういう物かは知っていたし、それに誰かがディーモンであったとして、それに気づきもしないなんて、ありそうにも無かった。じゃあ、幽霊?そこの所がどうもはっきりしなかった。

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 彼は最初にこの塔に来た時のことを思い出していた。他のメイジ全部と同じように、彼は恐怖に脅え、テンプラーに荒っぽく広間の間を引きずられてきた。この奇妙な場所がどこかも、一体ここに来るまで何日旅をしてきたのかも判らなかった。旅の間ほとんど彼は目隠しをされて意識を失ったまま過ごし、同情心の欠片も無い捕獲人達は彼に何も告げようとしなかった。連中は彼を殺そうとしている、彼はそう考えるしか無かった。

 慌てて道を空ける数人のアプレンティスの他には誰も居ない、暗い回廊を引きずられるように連れて行かれたのを彼は覚えていた。アプレンティス達は彼から目を背け、コールの恐怖を一層掻き立てた。彼はメイジで有るという罪において、二度とそこから浮かび上がることの無い暗い穴、地下牢へと連れて行かれた。テンプラーが彼を呼ぶ必要がある時は、邪険な汚い口調でその言葉を発した。メイジ。その日までは、コールにとってそれは彼自身とは関わりの無い言葉だった。その言葉は、彼にとってプリースト達の口から聞くだけの、メイカーに呪われた者へのお題目だった。今や彼がその者だった。呪われた者。

 彼は牢屋に放り込まれ、湿気った石の床に横たわりすすり泣いていた。殴られる事を予想していたが、何も起こらなかった。その代わり、牢屋の扉が鼓膜を破るくらいの大音と共に閉められた。コールは一時安堵としたが、男達が去ってしまった後にその安堵もすぐに消え失せた。彼は暗闇の中、ネズミと共に取り残された。その生き物は暗がりの中彼の周囲を走り回り、鋭くとがった歯で彼を囓った。彼は身をよじり避けようとしたが、何処にも逃げ場所は無く、ただ丸くなって祈る他無かった。

 寒気と無の中、彼は死を願った。どんなことであれ、テンプラーが戻って来るのを、彼らが計画した新しい拷問の事を考えながら過ごすのよりかは、ずっとましだったろう。プリースト達は、ディーモンはメイジを恐ろしいアボミネーションに変えるために引き寄せられてくる言っていたが、コールにはテンプラー達より恐ろしい者など想像さえ出来なかった。どれだけ堅く目を閉じても、彼らの冷酷な眼差しの記憶を脳裏から閉め出す事は出来なかった。

 彼はメイジとなることを望みはしなかった。メイジになる方法など見いだしたくも無かったし、魔法の素晴らしさなどにこれっぽっちも興味は持っていなかった。彼はメイカーに幾度も繰り返し、解放されることを求めて心から祈り続けた。彼の声が枯れるまで祈り続け、テンプラーが彼の存在さえ忘れてくれるよう祈った。

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 そして今彼の望みは叶った。まさにそれが連中のした事だった。
 ひょっとすると、彼は暗闇の中そこで死に、そして忘れ去られたのかも知れなかった。もしかするとそれが幽霊という物の成り立ちかも知れなかった。この世を去り、その事を受け入れる事を拒む者。それゆえに彼らはこの世に残り、もはや彼らの存在を望まない世界に居続ける。

 彼は目を固く閉じた。天におわしますメイカーよ、もし私が死んでいるのなら私にお示し下さい。あなたの御許に私が行くことをお望みでは無いのでしょうか?プリースト達は皆、あなたがそうお望みだと言っているではありませんか?私をここに見捨てないで下さい。

 しかし答えは無かった。答えが返ってきた試しは無かった。
 もし彼が死んでいるのなら、どうして彼は未だに眠るのか?どうして彼は空腹を感じ、そして呼吸し、汗をかいているのか?死んだ者はそのような事はしない。彼のことを他がどう呼ぼうと、彼は幽霊でも無ければディーモンでも無かった。

 だからといって、彼が実在するという事にはならなかった。

 遙か上空に、白い尖塔が人々を見下ろしていた。この巨大な塔には数多くの階層があり、日の光と広い空間に満たされていた。コールはそこに登っていくことは滅多に無かった。彼はずっと下の方に、テンプラー達が忘れ去った物、あるいは彼らが忘れたいと願った物の間に居る方が心地よかった。

 塔の下の方の部屋も、最初の数階はごく無害だった。キッチンや食料庫、武器庫、大きな部屋は……

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 ダークだ。これは読まなきゃあかんでしょ。
 即ポチ。あ、まだ予約か。送料入れると日本円で900円の本が2000円になってしまうのはどうにかなりませんか、米amazonさん。こういうのこそKindle Storeで売ってくれよおおおお。

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